6_国通
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2)た。けられることも多い。日本が参加しているEPAとしては、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP、2018年発効)、日EU経済連携協定(2019年発効)、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定(2022年発効)といったメガEPAが有名であるが、このほかにも二国間で多数のEPAが締結されている。コラム通商に関する国際ルールは、古くは、日本が幕末・明治期に締約した通商航海条約のような二国間(bilateral)通商協定が主流であり、関税、最恵国待遇・内国民待遇、入国・居住の権利等が個別に合意されていた。2)GATTは、もともと第二次世界大戦後に米国が主導した国際貿易機関(ITO)構想の一部として交渉された経緯を持つ。ITO構想は,物品貿易だけでなく雇用や開発等幅広い分野をカバーする野心的な試みであったが、あまりに理想主義的であったこともあり、構想を主導した米国自身を含め多くの国の批准を得られず、結果的に頓挫した。こうした状況の中、物品分野における貿易自由化の暫定的な枠組みとしてGATTが調印され、発効した。GATT、WTO協定、EPA・FTAの関係しかし、戦前、1930年代の世界恐慌等も背景に、保護主義の横行やブロック経済化により最恵国待遇等の理念が形骸化し、主要国間の経済的対立が激化してついには第二次世界大戦の一因にもなった。この反省を踏まえ、戦後、より強固な多国間の自由貿易の枠組み(多角的貿易体制)を確立すべきとの機運が高まった。そして、1947年、23か国が署名して関税及び貿易に関する一般協定(GATT)が成立し、1948年1月に発効しGATTの下では、8度にわたるラウンド交渉と呼ばれる自由化交渉を通じて関税の引き下げや貿易自由化に関するルール整備が行われ、締約国数も1994年には128を数えるまでになった(日本は1955年に加盟した)。こうした多角的貿易体制の強化・拡大の流れも踏まえ、1986〜1994年のGATTウルグアイ・ラウンド交渉を経て、1995年1月、GATTを国際機関に格上げする形でWTOが発足した。同時に、GATTのルールを発展的に引き継ぐ形でWTO協定が発効した。しかし、WTO発足後、加盟国数の拡大や先進国・開発途上国間の利害対立等から、さらなる貿易自由化に向けたルール交渉が難航するようになった。そのため、2000年代ころから、WTOの枠外で、二国間(bilateral)ないし有志国(plurilateral)間でEPA・FTAを締結し、「WTOプラス」の貿易自由化を目指す動きが活発化した。特に2010年代から2020年代はじめにかけては、CPTPP、日2 国際通商法を形づくるルールの種類5

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