6第1節 共有の法律関係(注6) 民法252条や255条等の「持分」が持分権を意味するのに対し,249条1項・2項,250条,253条1項,261条等は持分割合を意味すると説明される(『佐久間』206頁)。この持分権を各自が単独で譲渡できる共同所有形態であると説明される。そして,共同所有形態を解消し,単独所有とするための共有物分割請求権が認められるという点も共有の特徴であると説明される。 なお,民法は249条から264条にかけて「共有」に関する規定を設けている。共同所有に関する原則的形態が共有であることに由来した規定であると説明される。⑵ 共有持分権の内容 共有者が共有物について有する権利を共有持分権(あるいは単に持分権)と呼んでいる。この持分権の性質については民法学上,争いが存するが,「所有権の一種(持分権)であり,その効力は共有物の全体に及ぶが,1個の物に同質の権利を有する者(同じく持分権を有する者)が複数あることによる制約を受けるとする考え方(共有の個人主義的性格を重視する考え方)が有力である。」と説明されている(『佐久間』206頁)。そして,各共有者が共有物に対して有する権利の割合が,いわゆる持分割合である。したがって,持分権と持分割(注6)合は厳密には区別されるが,民法上は単に「持分」として規定されている。 これに対し,各共有者が有する共有持分権は複数存在しても,当該不動産に関する所有権そのものはあくまで1個であるという理解もあり,この全体としての1個の所有権を「共有権」と呼称する場合がある。この「共有権」に関する扱いに関しては実務上,注意すべき点がある。 なお,この共有持分権という権利そのものを想定できない共同所有形態が総有であり,その具体的な内容については,Q2で解説する。⑶ 譲渡可能性 共有においては,各共有権者は各自が有する自らの共有持分を単独で譲渡することができる。この譲渡性を有する点において,同じく持分権を有しながらも,権利者が自由に譲渡することはできないとされる合有と区別されることになる。 各権利者が持分権を有し,それを単独で譲渡できるのが共有である。複数
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