第1編 不動産共有の実務第1章共同所有関係の諸形態登記手続との接合7Q 1 ─登記手続との接合の共有者が一つの不動産について共有持分権を有しあっていることによる制限が伴うものの,共有者の個別的権利行使が最大限保障される共同所有形態となる。その点において共有は近代民法が前提とする一物一権主義に最も適合的なものであり,共同所有形態の中でも原則とされるものである。⑷ 共有物分割請求権 共有は,近代民法上はあくまで特異な所有形態である。そこで,いつでも共有関係を解消し,単独所有にすることが民法上,保障されている。これが共有物分割請求権(民256条から262条)である。この具体的な手続内容に関しては,Q12に記載しているので,これを参照されたい。3 共有権者相互の関係 共有関係においては,複数の共有者が一つの不動産について共有持分権を有しあっていることによる制限が必然的に伴っている。そこで,共有物の利用に関する規律が必要となり,民法は251条において変更に関する規定を,また,252条において管理,保存に関する規定を設けている。さらには所有者不明の不動産に関する新たな規律も新設されている。これらの具体的な内容に関しては,Q15に記載しているので,これを参照されたい。1 共有登記の概要 後記登記記録例(例1〜例6)のとおり,不動産が共有されているときは,持分として,その割合が登記される(不登59条4号)。なお,下記記録例において省略されているが,例えば,建物新築の場面における共有名義の所有権保存登記にあたっては,その前提として表題登記がなされており,その表題登記においても共有者の氏名や持分等が登記されている(不登27条3号)。
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