共紛
47/71

第1編 不動産共有の実務第2章不動産に関する一般的な共有関係用を認めることは,共有物の管理に関する事項(民252条1項)に該当すると解されるから,土地の所有者は当該他の土地等の共有者の持分の過半数の同意が得られれば,当該他の土地等に設備を設置し又は設備を使用することができると考えられる。民213条の2・213条の31 改正の経緯 民法は,電気,ガス,水道等のいわゆるライフラインの技術が未発達の時代に制定されたため,公の水流又は下水道に至る排水のための低地の通水する場合の他の土地又は他人が所有する設備(以下「他の土地等」という。)の使用に関する規定を置いていなかった。 そのため,各種ライフラインの設置に関して,土地所有者が他の土地に導管や導線等の設備を設置したり,他人が所有する設備を使用することを希望する場合,どのような根拠に基づいて対応すべきか不明確であり,対応に苦慮していた。実務では,各種ライフライン設置の必要性が高いことを理由に,民法209条,210条,220条及び221条並びに下水道法11条等を類推適用することにより,他の土地等の使用を認める裁判例があったが,類推適用される規定は必ずしも定まらなかった。 このように,他の土地等を使用しなければ電気,ガス又は水道水の供給そ69第6 継続的給付を受けるための設備設置権・設備使用権╱Q11(注83)(注83) 最二小判平5・9・24民集47巻7号5035号(ただし,下水道法11条1項・3項により隣接地に下水管を敷設する権利があるとしても,当該事案では権利濫用にあたるとした。),最三小判平14・10・15民集56巻8号1791頁(民220条及び221条の類推適用に基づき,他人の設置した給排水設備の使用を認容)。(民220条)や通水用工作物の使用(民221条)を除き,各種ライフラインを設置解 説

元のページ  ../index.html#47

このブックを見る