共紛
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第1編 不動産共有の実務第2章不動産に関する一般的な共有関係71第6 継続的給付を受けるための設備設置権・設備使用権╱Q11(注84)(注85)(注86)(注87)⑴ 権利の主体 権利の主体は,土地の所有者及び地上権者のほか(民267条),永小作権者も含まれると解されている。肯定すべきとする学説が多い。⑵ 権利発生の要件① 「他の土地に設備を設置しなければ継続的給付を受けることができないこと」(設備設置権)又は「他人が所有する設備を使用しなければ継続的給付を受けることができないこと」(設備使用権) 「他の土地に」との文言からも明らかなとおり,土地の所有者は,隣接していない土地についても必要な範囲で設備を設置することができる。 また,他人が所有する設備とは,他人が設置し,所有している水道の給排水管やガス管,電柱などである。その設備が他の土地に設置されている場合,土地の所有者は,設備設置権に基づき,導管・導線を他の土地に設置するとともに,設備使用権に基づき他人が所有する設備に導管・導線を接続することができる。② 電気,ガス又は水道水の供給その他これらに類する継続的給付であること 現代生活において不可欠な継続的給付を受けることを可能にするとの趣旨を踏まえると,「その他これに類する継続的給付」には,電話,インターネット等の電気通信や下水の排水などが含まれるほか,い,その内容は変わっていくものと考えられる。③ 必要な範囲内 設備設置,設備使用に際しては,継続的給付を受けるため必要な範囲内であることが必要である。(注84) 隣地使用権に関する『小粥』375頁(注85) 『山野目』187頁。なお,土地賃借人による通行権を認めた判例として最二小判昭36・3・24民集15巻3号542頁。(注86) 『村松ら』37頁(注87) 下水の排出に関しては,基本的には特別法たる下水道法が適用される(『村松ら』37頁)。また,土地の賃借人も民法267条を類推して技術等の進歩に伴

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