第1節 共有のケース第2編 共有関係訴訟の実務第1章原告共有者の第三者に対する請求第1章 原告共有者の第三者に対する請求第1 考慮すべき問題2211 想定される紛争類型 共有不動産をめぐる紛争のうち,共有者が原告となるケースである。第三者が共有不動産を不法に占拠している場合や,第三者が無権限で所有権登記名義を有する場合などに,共有者が全員あるいは単独でこれらの第三者に対し,明渡しを求めたり,第三者名義の所有権登記の抹消登記や移転登記を求める訴訟が想定される。 共同所有形態としては,共有,合有,総有という諸類型があるが(この点は,うな場合に生じる共同所有形態は原則として共有となる。そこで本節では不動産を複数の人が共有するケースを考える。2 共有者の一人が単独で訴訟を提起することの可否(原告適格)⑴ 固有必要的共同訴訟 一人の原告が一人の被告を相手に訴訟を提起するのが民事訴訟の原則的形態であるが,原告あるいは被告(ときには原告も被告も)が複数の訴訟も一定の場合に許容される。いわゆる共同訴訟であり,この場合も民事訴訟法38条が定める要件さえ満たせば共同訴訟が可能となる通常共同訴訟と,同法40条に定める合一確定の必要のある必要的共同訴訟とが存する。このうち,原告適格(当事者適格)との関係で問題となるのは,共同訴訟とすることが義務付けられる固有必要的共同訴訟と呼ばれる訴訟形態である。第1 考慮すべき問題第1編第1章第1節参照),不動産を共同購入したり,あるいは共同相続したよ
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