共紛
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BAC登ED第2編 共有関係訴訟の実務第1章原告共有者の第三者に対する請求R3.10.1甲建物所有権移転登記R3.10.1甲建物売買R5.5.1死亡(買主)所有権移転登記抹消登記手続請求訴訟第2 持分権に基づく妨害排除請求権としての抹消登記手続請求訴訟223〈ケース4〉 Aは,令和3年10月1日,甲建物を代金1000万円でBから購入した。しかし,Aは甲建物を自己の所有名義にすることを望まず,甲建物の所有権登記名義は,Aの弟であるCが甲建物を買い受けたかのように装い,Cへの所有権移転登記手続が同年10月1日になされている。 Aは,令和5年5月1日,死亡し,Aの財産は長男Dと次男Eが相続した。Dは自らが原告となり,甲土地の所有権登記名義を有するCを被告として,BからCへの売買を原因とする所有権移転登記を抹消することを求める訴訟を提起した。なお,EはCに対して訴訟を提起することを望んでおらず,この訴訟の原告にはなっていない。 このDのみを原告とする所有権移転登記抹消登記手続請求訴訟は適法か。〈図表12 ケース4の関係図〉1 原告適格について 甲建物はAが死亡したことによりDEが共同相続し,遺産共有状態となっている。この遺産共有状態の法的性質については,これを共有と理解するのが判例である。有することになる。この場合に持分を有するDのみでCに対する抹消登記手(注1)第2 持分権に基づく妨害排除請求権としての抹消登記手続請求訴訟(売主)(注1) 最三小判昭30・5・31民集9巻6号793頁そこで遺言がない限り,DEは法定相続分に応じた持分を

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