戸コン
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iiはしがき記企画後に,民法では,嫡出推定に関する法制の大改正や,離婚後の夫婦共同親権の制度をはじめとする夫婦親子間の権利義務の改正,さらには,戸籍法の分野では,完全コンピュータ化を目指す改正や氏名の振り仮名の記載等の改正がなされたことである。これまでは,身分法の改正はどちらかと言えば時間を十分に掛けて議論をした上で改正がなされてきたが,改正のスピード感には驚かされる。これらの改正をフォローし,最新の内容により本書を上梓することができたことは編者にとって無上の喜びである。 実務上,戸籍の完全コンピュータ化が実現し,紙戸籍を前提とする規定の中には,現実の戸籍事務の処理に当たり適用されない条文が存在することとなったが,戸籍法に現に規定されていることや,戸除籍の謄本を参照する等の際に役に立つことから,本書においては解説することを惜しまなかった。また,本文をご覧頂ければお分かりになると思われるが,昭和年代や平成年代の民法の改正につき,特別養子の制度が「新設」された等,何年も前に行われた法改正がつい先日行われたような記載がある。これは,原稿を執筆された方々にとっては,改正前の問題点や改正理由が生々しく記憶されており,執筆に当たってはその点を触れられずにはおられなかったからと推察し,編者としても,その心意気をできる限り尊重した上で,表現等の統一に努めた。 さて,新憲法の下,昭和22年に全面改正された民法親族編・相続編と戸籍法はこれまでに数多くの改正がされてきた。これらの改正は,妻の相続分を増加する等の男女平等の実質的推進,特別養子制度の制定等にみられる子の保護,成年後見制度への鞍替え等の弱者保護を目的としたものである。また,戸籍法では,個人情報保護やデジタル社会への対応のため,戸籍公開の原則の見直しやコンピュータ戸籍への改正も行われてきた。現在,夫婦別氏や同性婚等が問題となっているが,これは,家

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