戸コン
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4序にかえて ─ 戸籍法の沿革の他の家族との間の服従的な権利義務関係が,日本国憲法の「家族生活における個人の尊厳と両性の平等」の理念(憲24)に相反するものとされたからである。このため,民法及び戸籍法については抜本的な改正を要することとなったのであるが,日本国憲法の施行に伴う民法の応急的措置に関する法律では,民法の個別の条文を改めるまでの措置はされず,戸籍法に至っては何らの措置もされないままであった。そこで,戸籍の手続については,司法省の通達(昭和22・4・16通達317号)により,暫定的に従前の方式(大正4年式戸籍)を踏襲すると定めることで,急場をしのぐことになった。日本国憲法の上記理念に沿う民法の親族編・相続編の改正及びその手続法としての現行戸籍法の制定が取り急ぎ行われて,それらの施行をみたのは昭和23年1月1日のことであった。⑵ 現行戸籍法における主要な改正点① 戸籍の編製単位を「家」に代えて「夫婦・親子」とした。通常の家族の生活実態に合わせた編製単位に切り替えたのである。② ①の改正に伴い,婚姻によって夫婦の新戸籍を編製し,その子は親の戸籍に入るものとした。したがって,三世代の親子の同籍は不可とされた。③ 戸籍の変動(新戸籍の編製・入籍・除籍)は,旧戸籍法では,民法が定める「家」への入去,戸主の交代などを原因とするものとされていたのを改めて,戸籍法中に,それぞれ個別に戸籍の変動原因を定めた。ただし,「家」の名称であった氏は個人の呼称に代わったものの,その変更は戸籍の変動を生ずるものとされた。④ 旧戸籍法中の「家」制度を前提とする規定(例えば,隠居,家督相続,入籍,離籍,分家,廃家,絶家等)に関する規定が削除され,これに代わる新たな届出等の規定が挿入された。 以上のような改正などによって,戸籍法は「家」の登録としての制度の性格を払拭したのであるが,他方で,戸籍の手続に関しては,基本的には旧戸籍法の規定が活用されているところが多かった。旧戸籍法のうち,国民の身

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