戸コン
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7序にかえて ─ 戸籍法の沿革た。平成7年から始まったこの全国規模の大事業の完遂までに,実に四半世紀近い歳月を要したことになる。イ コンピュータ・システムの進展 以上のような過程を経て導入された戸籍事務のコンピュータ・システムには,その後新たなシステムが付加されて,国民の利便に供されている。以下に,この点を概観しておこう。□ オンライン届出・請求 平成10年代に入って,「高度なIT国家の実現を目指す」という政府の方針に沿って,様々な行政手続につき,従来の書面による申請・請求・届出等に代えて,各人の自宅のパソコンからのオンライン申請等が導入されるようになった。戸籍事務についても,平成16年に規則の規定が整備されて,コンピュータ処理を行っている市区町村の長に対する戸籍の届出及び戸籍記載事項証明書の交付の請求はコンピュータを使用して行うことが可能となった。戸籍記載事項証明書のオンライン請求については,平成24年頃から,一部の市区町村が地域内のコンビニ店舗内に設置した自動交付機を使って行うことができる方法を採用するようになり,需要は順調に伸びてきている。□ 戸籍副本データ管理システム 平成23年の東日本大震災が発生した際,津波によって東北地方の一部の市町で戸籍の正本データが失われ,そのうち1つの正本データのバックアップデータとなるべき法務局保管の副本データも,危ういところで津波の被害を免れるという事態に遭遇した。そこで,このような事態に備えるために法務省が考案したのが,戸籍副本データ管理システムである。 このシステムは,法務省が東日本と西日本にそれぞれ1か所ずつ戸籍副本データ管理センターを設置し,東日本地域の市町村の戸籍データは西日本に設置されたセンターに,逆に,西日本地域の市町村の戸籍データは東日本に設置されたセンターにそれぞれ保管するというものである。こうすれば,先のような広域災害が起こっても,戸籍の正本データと副本データが同時に滅失するというリスクは著しく軽減されることになる。このため,戸籍事務を

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