戸コン
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第1章 総 則5)等が定められた。さらに,令和元年改正法では,戸籍法以外の法律においても,法務大臣が磁気ディスクをもって調製された戸籍又は除かれた戸籍の副本を保存することを前提とする規定(マイナンバー法9Ⅲ等)が設けられた。 そこで,これらの法律の規定の改正と併せて,市町村長以外に戸籍に関する事務を行う主体が法律上存在することを明確化するため,本条1項に,「この法律に別段の定めがあるものを除き」との文言が追加されたものである。⑶ 戸籍事務管掌者の代理 市町村長に事故があるとき又は市町村長が欠けたときは,地方自治法152条の規定に従って,職務代理者が戸籍に関する事務を代理して取り扱う。(注3)また,地方自治法152条の規定により市町村長の職務を代理する者がないときは,都道府県知事は,市町村長の被選挙権を有する者で当該市町村の区域内に住所を有するもののうちから臨時代理者を選任し,当該市町村の長の職務を行わせることができる(地方自治法252の17の8Ⅰ)。 これらのほか,新たな市町村が設置された場合には,市町村長が選挙されるまでの間,地方自治法施行令1条の2第1項及び第2項による職務執行者が戸籍に関する事務を取り扱う。 なお,地方自治法153条においては,普通地方公共団体の長は,その権限に属する事務の一部をその補助機関である職員に委任し,又はこれに臨時に代理させることができるとするほか,その権限に属する事務の一部をその管理に属する行政庁に委任することができるとしている。これに関し,昭和25年5月2日回答931号は,「戸籍法第1条の規定は,戸籍事務の性質上これを専ら市町村長に管掌せしめる趣旨であり,また,地方自治法第153条第1項の規定は,かかる事務を市町村の他の吏員に委任することを認める趣旨ではないと解するのが相当である。」として,戸籍に関する事務については,地方自治法153条による委任等をすることはできないとしており,現在でもこの考え方が維持されている(南ほか・前掲『最新体系・戸籍用語事典』131頁)。22

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