第1章 総 則国の機関と構成した上で国の事務を処理させる仕組みである機関委任事務の制度を廃止するため,地方自治法中の国等の市町村長に対する一般的な指揮監督権に関する規定を削除し,また,地方公共団体が処理する事務を自治事務と法定受託事務とに区分した。 そして,法定受託事務については,これを,「法律又はこれに基づく政令により都道府県,市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち,国が本来果たすべき役割に係るものであつて,国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの」(地方自治法2Ⅸ①)と,「法律又はこれに基づく政令により市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち,都道府県が本来果たすべき役割に係るものであつて,都道府県においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの」(地方自治法2Ⅸ②)とに区分した。前者を「第1号法定受託事務」,後者を「第2号法定受託事務」と呼ぶ。 戸籍に関する事務は,国が本来果たすべき役割に係る事務であると理解されてきたことから,地方自治法2条9項1号の「国が本来果たすべき役割に係るもの」に当たる。また,戸籍に関する事務は,人の親族的身分関係について,登録・公証のみならず,形成・解消にも関与する国の根幹に関わる事務であって,地域ごとに区々にわたることがない全国統一的な運用が特に強く要請されるため,地方自治法2条9項1号の「国においてその適正な処理を特に確保する必要があるもの」に当たる。 そこで,本条2項において,戸籍に関する事務は,第1号法定受託事務とされたものである。26
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