戸コン
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2 除斥の対象となる戸籍事件の範囲1 本条により除斥される者27〔戸籍事務管掌者の除斥〕第2条 市町村長は,自己又はその配偶者,直系尊属若しくは直系卑属に関する戸籍事件については,その職務を行うことができない。 戸籍に関する事務は,人の親族的身分関係について,登録・公証のみならず,形成・解消にも関与する事務であることから,その職務の執行の公正を担保する必要がある。そこで,本条は,戸籍に関する事務の管掌者である市町村長が,自己又は近親者の戸籍事件の職務を行うことができない旨を定めるものである。 本条により,自己又は近親者の戸籍事件に係る職務の執行から除斥されるのは,戸籍事件に係る職務を行う市町村長,特別区の区長並びに指定都市の区長及び総合区長(戸1Ⅰ・4)である。また,地方自治法152条等により市町村長等の職務を代理する者(職務代理者等)についても,本条が類推適用されるものと解されている(青木=大森『全訂戸籍法』27頁)。 一方,市町村長等の補助機関である職員については,地方自治法152条3項により職務代理者とならない限り,戸籍事件に係る職務の権限を市町村長と同様の地位において行使するものではないから,本条の適用はない。 また,外国に駐在する日本の大使,公使及び領事は,戸籍の届出を受理するなどの権限を有する(戸40等)が,本条の適用はない。 本条により職務の執行から除斥される対象となる戸籍事件は,市町村長本人,配偶者,直系尊属又は直系卑属に関する戸籍事件である。 「戸籍事件」とは,前述の者を事件本人とする戸籍の届出の受理及び記載,第2条〔戸籍事務管掌者の除斥〕

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