41(注1) 青木=大森『全訂戸籍法』66頁。(注2) 小出邦夫「『戸籍法の一部を改正する法律』の解説」民月62巻6号7頁。前 注やプライバシーの侵害につながるおそれがある場合もこれに当たるとの説を生じ,昭和40年代後半には,請求が人権侵害や差別的事象につながるおそれがある場合には,これに応じない取扱いをすることができるとする先例も現れた(昭和49・9・5福井協議会決議,昭和50・10・7鳥取協議会決議)。しかし,当時の制度においては,市町村長において請求を拒むべき正当な理由の有無を判断するための法律上の根拠に欠けるところがあったために,適正な戸籍公開の運用に支障が生じていた。(注1) そこで,昭和51年の戸籍法の改正により,戸籍謄本等の交付請求をする場合には,原則として請求の事由を明らかにしなければならないこととし,市町村長は,これを手掛かりにして,請求が不当な目的によることが明らかであると判断されるときは,これを拒むことができるとする手続が創設された。あわせて,上記の改正では,戸籍公開の手段としての意義が薄れる割には多くの手間と費用を要する閲覧の制度を廃止し,除籍の謄抄本等の交付請求について,除籍の性質を考慮して,第三者による請求が認められる場合につき,相続関係を証明する必要がある場合などに限定するなどの措置も講じられた。 これらの手当てによって,不当な目的による戸籍の公開の請求を排除する体制が整備されたが,平成年代に入ると,自己の情報を他人に知られたくないとする国民の意識の高まりを背景にして個人情報保護の社会的要請が一層強まり,また,他人の戸籍謄本等を不正に取得するという事件が発生・発覚したことから,戸籍の公開制度を厳格なものに改めるべきであるとの要望が関係各界から法務省・法務局に寄せられるに至った。(注2)このため,平成19年に,「戸籍の制限的公開」の流れを更に推し進める戸籍法の改正が行われた。これが,現行の戸籍の公開制度である。ttttttttttttttttttttttttttttttttttttttttttttttttt
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