2)真野俊樹編『はじめての医療経営論』(有斐閣・2020)41頁(真野)。3)池田美智雄・寺本義英・濵野純一・藤井雅巳・星多絵子『医療機関との融資取引に強くなる本』(近代セールス社・2017)55頁(寺本)。4)厚生労働省保険局医療課医療指導監査室「保険診療の理解のために【歯科】」(令和5年度)4頁,同「保険診療の理解のために【医科】」(令和5年度)11頁,同「保険調剤の理解のために」(令和5年度)2頁。192ア)診療報酬改定 診療報酬は,2年に1回,中央社会保険医療協議会(中医協)で診療報酬改定の議論がなされる。中医協の委員は,医療費の支払側(患者と保険者)の委員7名,医療サービスの提供側の診療側委員7名,その他有識者として公益代表の6名から構成される。厚生労働省が財務省および政府与党間で調整を行い,決定された改定率を前提として,診療側と支払側が詳細な交渉を実施する。その後,厚生労働大臣が中医協に対し改定率および改定の方針を諮問し,それに対する答申を経て診療報酬が告示通知される2)。イ)公定価格 診療報酬の改定は,医療費総額の調整に加え,個別の診療行為および薬価等の点数を増加させ,新たな算定項目を設け,政策的に医療需給の誘導を図る面がある3)。診療報酬は,診療報酬改定ごとに,物価および賃金の動向,医療を取り巻く諸状況を総合的に勘案しながら,中医協における議論を踏まえて決定される一種の「公定価格」とされる4)。⑴ 医療費の支払方式医療サービス提供者に対する支払は,個別の医療サービス提供内容に対応しない支払(予算配分方式・人頭払),医療サービス提供内容に対応した支払がある。日本の診療報酬制度は「出来高払」であり5),例えば,医師の診療行為(処方・手術等)には,①行為別,②入院基本料等は1日当たり,③各種の指導管理料等は1か月当たりという支払単位6)がある。2 診療報酬の決定方法3 保険診療・保険調剤の仕組み
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