激変する医療法人の運営・資金調達・承継の法律実務
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易である。医療法人設立後は,個人医院(医科・歯科)と異なり,情報開示,登記・定款変更・社会保険加入負担等の各種手続,経営自由度の低下等の留意点がある。直近の会計年度において,貸借対照表の負債の部に計上した合計額が50億円以上,または貸借対照表の事業収益の部に計上した合計額が70億円以上の医療法人等は,前記書類に加え,純資産変動計算書および附属明細表の⑷ 事業展開の多角化医療法人が行うことができる業務は,本来業務(病院,診療所,介護老人保健施設の運営)に加え,①附随業務(病院内の売店運営,病院敷地内の駐車場経営,病院等への患者の搬送等),②附帯業務(疾病予防のために有酸素運動または温泉利用させる施設,老人福祉法が定める有料老人ホームの設置等),③収益業務(医療用品・介護用品の販売,不動産の賃貸業等)が可能である。⑸ 社会的信用医療法人は法務局で法人としての資格証明等を受けることができ,金融機関または医療機器のリース・レンタル業者等との交渉で,個人医院と比較して,概して有利な条件で契約を締結できる。⑴ 情報開示と都道府県知事への届出等全ての医療法人は,毎会計年度終了後2か月以内に,事業報告書,財産目録,貸借対照表,損益計算書,関係事業者との取引の状況に関する報告書その他厚生労働省令で定める書類(事業報告書等)を作成する義務を負う(医療51条1項)。また,全ての医療法人は事業報告書等を決算終了後3か月以内に,都道府県知事に届け出る必要がある(医療52条)。第1章 個人医院から医療法人への移行4653 医療法人設立後の留意点

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