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2令和3年法改正について2136 第 2 章 相続人不存在の場合における相続財産清算人【令和3年法改正のポイント】1 相続財産管理制度の改正 改正前の民法においては、①相続人が相続の承認又は放棄をするまでの段階(改正前民法918条2項)、②限定承認がされた後の段階(改正前民法926条2項)、③相続放棄後、次順位者が相続財産の管理を始めることができるまでの段階(改正前民法940条2項)の各段階において、相続財産管理人の選任など相続財産の保存に必要な処分をすることができる旨規定されていたが、他方で、④共同相続人が相続の単純承認をしたが遺産分割前で遺産共有状態にある場合については規定がなく、⑤相続人のあることが明らかではない場合についても相続財産の保存を目的とする規定はなかった。 そのため、令和3年法改正においては、相続が開始すれば相続の段階にかかわらず、いつでも相続財産管理人の選任その他の相続財産の保存に必要な処分をすることができる旨の規定が新設された(民法897条の2)。この改正により、⑤の場合には、清算を目的とする相続財産清算人の選任あるいは清算を目的としない相続財産管理人の選任のいずれかを選択することが可能となった。2 名称の変更 相続財産の清算を目的とする場合の管理人(改正前の民法952条、936条1項)の名称が、「相続財産の管理人」から「相続財産の清算人」に変更された。3 公告手続の変更 改正前の民法では、民法952条1項により相続財産管理人が選任された場合、①家庭裁判所による相続財産管理人選任の公告を2か月間行い、その後②相続債権者・受遺者に対する請求申出の公告を2か月以上の期間を定めて行い、③最後に、相続権主張の催告(相続人捜索)の公告を6か月以上の期間を定めて行うこととされていた。 この点、令和3年法改正により、相続財産清算人を選任したときは、⑴ 改正の内容 相続財産管理制度に関する令和3年法改正の主な内容は、以下のとおりである。

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