10_対話
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4 質問を重ねる場合の2つのポイント⑴ 許可を取る質問を始める前に、弁護士側から質問をしていく形式を取ることについて説明し、それでいいですか?と許可をとることで、相談者には心の準備もできます。上記の効果的な関わり方もあるように、「もし差し支えなければ、いくつかこちらからご質問する形でお尋ねしてもよろしいですか  ※3」といった表現がわかりやすいでしょう。広がってしまうときもあります。また、日本語の特徴として、主語がしばしば省略されるため、誰がいつどうしたのか、という単純な事実関係さえ誤解が起きやすく、弁護士としては慎重に事実を聞き分ける必要があります。とはいえ、限られた法律相談の時間内で、的確に、事実関係を時系列どおりに把握することはそう簡単ではありません。そこで、弁護士としては、事件類型ごとに必要となる質問をあらかじめ整理しておき、相談者が安心して話せる心境になったら、順を追って質問を始めるという方法もお勧めです。特に、借金問題などは、借入先、借入金額、借入時期、返済状況、収入など、確認事項はかなり定型的ですから、このやり方に向く事件類型です。このほか、離婚や相続事件なども、確認すべき事項は比較的明白ですので、相談者の意向を確認しつつ、弁護士が段取りよく質問を重ねていくことで、初回相談を充実させることができるでしょう。ただし、弁護士が次々と質問を重ねる場面では、知らずと威圧的な雰囲気を感じさせてしまうリスクもあります。矢継ぎ早な質問をすると、相談者に、責められているのではないか、怒られているのではないか、といった不安や不愉快さを感じさせてしまうかもしれません。こうした不快な感情は、相談者との関係性に悪影響を及ぼす可能性もあります。そこで、的確に質問を重ねながらも、相談者と良好な関係を作るための2つのポイントを挙げておきます。⑵ 言いたいことや疑問が出てきたら遠慮なく話していいと伝える弁護士が矢継ぎ早に質問を続けると、相談者は、本当に言いたかったことが言えなかったり、聞かれていないことは話してはいけないといった気持になるときがあります。また、弁護士の言葉の意味がわからず疑問を感じているけれ14 第2章 第1 相談者との関係性の構築

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