司行
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序章 名称・前文責)の規定を通じて,懲戒事由を実質的に解釈する際に一定程度考慮され4)『専門家責任』377頁5)石田・論究ジュリ22号56頁いのが通常であるから,専門職には倫理を遵守するということがビルトインされていなければならないと述べる。4) このように,専門職倫理は,「その専門職に特有の職業ルールであると同時に,独占の対価であるはずの専門職サービスの質を担保する機能を持つ」ものである。5)22司法書士個々人が守るべき行為規範として 司法書士の専門職倫理としては,具体的には,司法書士法,司法書士法施行規則,会則のほか,司法書士行為規範が挙げられる。このうち,司法書士行為規範は,依頼者及び社会に対する宣明の形を取っており,その違反のみでは懲戒処分の根拠にはならない(この点,旧倫理も同様である)。 しかし,司法書士行為規範(旧倫理も同旨)が定める規範は,①法令上の司法書士の義務や禁忌を含むものがあり,その点については法令上の義務や禁忌と同視できること,②法令上の司法書士の義務や禁忌ではない場合であっても,その違反の程度が重大である場合には,司法書士法2条(職ていること,③司法書士の注意義務を巡る訴訟において,注意義務の解釈基準として用いられていること,④注意勧告又は会長指導を行う際の自律的規範として機能していると言うことができる。 したがって,これらを踏まえれば,その遵守が個々人に委ねられているものではなく,司法書士であれば誰でも遵守しなければならない規範であり,その意味で「法」に近いルールと解するべきである。 このような性格を踏まえ,旧司法書士倫理から司法書士行為規範への改正にあたっては,曖昧であった要件を明確にすることや,法令上の義務又は禁忌の解釈を示す等の見直しを行うことにより,司法書士個々人が守るべき規範であることを明確にして,司法書士にとってのガイドラインとして機能させることを目指した。24

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