司行
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第3条(信義誠実)29した個人の主観的な良心とは異なるものである。 また,司法書士は,依頼者の権利の実現に固執するあまり,法的な公正さを失い,不当な結果を生じさせてはならない。「司法書士の良心」は,その限界を画するものであり,司法書士の職務の公共性を表すものである。(信義誠実)第3条 司法書士は,信義に基づき,公正かつ誠実に職務を行う。1趣 旨1 司法書士法2条は,「品位保持義務」,「法令及び実務精通義務」及び「誠実義務」という法律専門職としての義務を並列的に規定している。そして,これらの義務は,本来,趣旨を異にするものであるため,行為規範では本条から5条までにおいてこれらが分別して規定されている。このうち,本条は,誠実義務を定めている。22公正かつ誠実に職務を行う⑴ 誠実義務 誠実義務は,依頼者との関係で最も重要な義務とされ,法律専門職倫理の中核をなすものである(秘密保持の義務,利益相反の禁止とともに,法律専門職 誠実義務の内実は,司法書士の義務の中核である依頼者に対する誠実義務及びこれを制約する原理としての第三者や社会に対する配慮義務とされる。⑵ 法的性質 誠実義務の法的性質については,従来は単なる倫理規範にすぎないとの議論もあった。しかし,現在では法的規範と解するのが一般的とされる。そして,弁護士と依頼者との関係は,委任契約(民643条)又は準委任契約倫理のコアヴァリューとされる。)。

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