司行
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【事例1-3】 不当誘致173を慎重に検討し,これがない場合は資料の提供を拒絶することが考えられる。2 証言の拒絶 民事訴訟法197条は,証言を拒むことができる場合を規定している。この規定は例示列挙規定と解されており,司法書士にも類推適用され,証言を拒絶することができる。 一方で,刑事訴訟法149条の規定は,民事訴訟法と異なり限定列挙規定であり,司法書士への類推適用は許されないと解されている。そのため,司法書士は刑事訴訟では証人として証言を拒むことはできない。 本事例では,民事訴訟の証人として証言する場合であるので,証言拒絶ができるにもかかわらず証言をした場合は,秘密保持義務違反となるので注意が必要である。【事例1-3】 不当誘致 司法書士甲は,提携先であるA社から反復継続して依頼される登記事件処理のため,司法書士乙にその協力を求めた。その内容は,A社と司法書士乙が直接受任する契約を締結して登記事件を処理すること,司法書士乙は司法書士甲に対して,登記申請1件につき協力費として金2万円を支払うというものである。 司法書士乙は,司法書士甲に協力費を支払ってもよいのだろうか? また,司法書士甲は,司法書士乙から協力費を受け取っても問題ないのだろうか?関係条文  規則26条(依頼誘致の禁止)╱行為規範12条(不当誘致等)論  点 不当誘致

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