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第1章 リーガルリサーチの見取り図1 上司や先輩から,「リーガルリサーチをしなさい」と言われますが,リーガルリサーチとは何ですか。 本書で扱う範囲では,弁護士や法務パーソン(法曹資格の有無を問いません。以下同じです。)が具体的事案を踏まえて,具体的問題意識の存在を前提に,リスク管理を目的として実施する調査プロセスをいいます。換言すれば,目の前に具体的事案があり,それに基づく具体的問題意識をもって生じ得るリスクを検討し,その問題の「答え」とその根拠を探す営為をいいます。解 説1 リーガルリサーチの意義 本書はリーガルリサーチをテーマとした若手弁護士・若手法務パーソン向けの書籍です。 ここでいう「リーガルリサーチ」の意義は論者によって若干異なっています。例えば,「法令,判例,文献を主たる資料とするリサーチ」と定義する論者(いしかわまりこほか著『リーガル・リサーチ第5版』(日本評論社,2016年)3頁)や,「法律に関係する情報・資料を調査すること」(田髙寛貴ほか著『リーガル・リサーチ&リポート第2版』(有斐閣,2019年)170頁)と定義する論者も存在します。これらの定義はいずれもその論者が論じようとする「リーガルリサーチ」の意義としては決して誤ってはいません。 とはいえ,上記の論者が想定するような,「大学のレポートを書くためのリサーチ」や「研究論文を書くためのリサーチ」は,若手実務家のための書籍である本書においては,あまり重要ではありません。むしろ,実務§1 リーガルリサーチの意義キーワード【具体的事案】【リスク管理】 第2章以降で,リーガルリサーチの手法を包括的に説明しますが,まずは,第1章では,リーガルリサーチとはどのようなもので,どのようにリーガルリサーチを進めていくかを大まかに説明します。§1

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