12_若リ
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4ください。 なお,本書では日本法を前提としています。外国法に関しては本書の読者である若手弁護士や若手法務パーソン自身がリサーチをすることには限界があると思われます。そのような場合,若手弁護士・法務パーソンにとっては,例えば外国弁護士等の専門家の手を借りることが望ましいと思われますので,本書の対象としていません。4 企業の法務部門との関係でのリーガルリサーチを含むこと なお,本書は,事務所所属の弁護士が行うリーガルリサーチのみならず,法務パーソンによるリーガルリサーチも論述の対象としています(この場合におけるリーガルリサーチを行う法務パーソンは,弁護士資格の有無を問いません。)。そして,上記2の場面2及び場面3はこのような法務パーソンによるリサーチを想定しています。 法務パーソンは,会社全体の観点からのリスク管理(全社的リスク管理)をするための活動を行っています(→第3弾Q37)。そこで,法務は,ビジネスから依頼を受けて様々な案件につき,進めるべき案件か否かを判断した上で,進めるべき案件を安全に進めていきます(→第3弾Q37,Q38)。逆にいうと,進めるべきではない案件については,最後は断念してもらう等,案件を前に進めないこともあり得ます(→第3弾Q124)。もっとも,そのような「案件を止める」べき場合は例外であり,多くの場合には,ビジネスのキーパーソン(→第3弾Q58以下)とコミュニケーションを図りながら,「案件を前に進めるためにはビジネスモデルをこのように変更してほしい」等として,当初に想定された形では進められないものの,何らかの形で案件を進めることができることが多いと思われます。 このようなプロセスにおいて,リーガルリサーチが必要となります。前述した具体的事案を踏まえた具体的問題意識の存在を前提としたものであることはもちろん,これに加え,会社全体の観点からのリスク管理を目的として行われるという点が重要です。例えば,場面2では契約期間の延長を,場面3では顧客クレームに対する対応を,全社的リスク管理のためにより良く行うことを目的としてリーガルリサーチを行っています。5 弁護士が一般民事に関して行うリーガルリサーチにおいてもリスク管理は重要であること 弁護士は,大きな話をすれば,依頼者の利益を実現するためにその業務を遂行します。そして「いかに依頼者の利益を実現するか」という観点からすると,どのような(法的)リスクがあり,それをどのように管理するかが重要になってきます。第1章 リーガルリサーチの見取り図

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