12_若リ
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7 適当にインターネットで検索すればそれらしき情報が出てくるのにもかかわらず,なぜ上司や先輩は「それではダメだ,しっかりリーガルリサーチをしなさい」と口を酸っぱくして言うのですか。 正しい「根拠」,すなわちリーガルリサーチの結果が,目の前の案件の進め方に影響する可能性が大いにあるところ,インターネット上で無料で入手できる情報だけでは正しい「根拠」にならないからです。解 説1 リーガルリサーチの結果が重要な影響を与えること リーガルリサーチは,具体的事案を踏まえた具体的問題意識の存在を前提として行われ(→§1),その過程で発見された「根拠」に基づき実務が行われます(→§2)。つまり,リーガルリサーチの結果が,目の前の案件の進め方に影響する可能性が大いにあります。 §1の場面1では,例えば,当初は評価損(修理により元に戻ったものの,事故歴があるということで売却する際に高い価格で売却できなくなったとしてその差額を損害として主張するもの)を主張しようとしていたところ,リサーチをしてみた結果,場面1における具体的な状況を鑑みるに,評価損が裁判で認められることは難しいため,いわゆる「交渉の余地(ネゴ代,交渉代等)」にとどめるべきだということが分かるかもしれません。場面2でも,当初は契約期間を「3か月」から「4か月」にするだけのつもりが,リサーチの結果,それだけではなく,代金その他についても変更するかしないかを明確にする延長覚書を締結すべきだとなるかもしれません。場面3でも,当初は「誤使用なので責任はない」として顧客の要求を拒否する方向で進めようとしていたところ,リサーチの結果,「指示・警告上の欠陥がある可能性がある」として謝罪して補償する方向へと対応が変わるかもしれません。 これらは例示ではありますが,重要なのは,具体的事案を踏まえた具体的問題意識の存在が前提となっている以上,リーガルリサーチの結果を踏まえ根拠を確認することによって,当該具体的事案の進め方が変わることを意識することです。§3 インターネットで検索するだけではダメな理由キーワード【具体的事案】【根拠】【法的に意味のある相違】§3

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