9§4 リーガルリサーチの方法キーワード【問い】【リサーチの本体】【答え】切に当てはめる必要があります。条文とその文言に基づく議論をしていない記事は,そのような検討に資するものではないので,使えないということになります(例えば,Xではない場合を前提に,「Aだ」という結論だけ記載するような情報は,Xではない場合が原則的である限り,間違った情報とまではいえなくても,目の前の事案がXである場合なら,結論はBになるわけですから,「使えない」ということになるでしょう。)。 加えて,この点とも関係しますが,法律情報における回答の対象となる質問が常に目の前の「問い」とは異なるということもあります。つまり,全ての事案はそれぞれ微妙に異なっているところ,その相違が,「法的に意味のある相違」であるのかどうかは,リーガルリサーチをしてみないと判明しません。すなわち,「同じような事案で,適法と回答する情報があった」という場合において,もしその事案が「法的に意味のある相違がない」事案であれば,「適法」という回答が正しいですが,「法的に意味のある相違がある」事案であれば,適法とは言い切れないのです。 だからこそ,単にインターネット上を検索するだけでお茶を濁すのではなく,条文・書籍・(裁)判例・論文・パブリックコメントその他の正しい根拠(→第4章以下)に基づいてリーガルリサーチをすることが重要です。 上司や先輩から「リーガルリサーチが重要だからしっかりやりなさい」と言われますが,具体的なやり方は教えてくれません。リーガルリサーチはどのように行えばよいでしょうか。 リーガルリサーチの一連のプロセスは,①適切な問いを立てる,②調査の前提となる法律知識及びどこをどう探すとどのような情報が出てくるかに関する知識を踏まえて調査(リーガルリサーチの「本体」)を実施する,③「答え」を踏まえて案件を進めるという3つに分かれます。解 説1 はじめに 具体的事案を踏まえた具体的問題意識の存在を前提としたリーガルリサーチは,まず,当該具体的問題意識に応じた適切な問いを立てることから始まります(後述2)。その上で,情報・資料の調査(リーガルリサーチの「本体」)を行います(後述3)。その際は,調査の前提となる法律知識及び§4
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