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23Column1 気軽にリーガルリサーチをやってみよう!1 リーガルリサーチは難しい? リーガルリサーチという言葉を聞くと,何かとても大変なことをすることだと思う方もいるかもしれません。また,リーガルリサーチが含まれる業務を行う場合には,いつもの「通常業務」とは全く違うことをするのだといわば「構え」てしまう方もいるかもしれません。特に,リーガルリサーチに対して苦手意識を持つ方からすれば,「上司からリーガルリサーチを命じられた。とても嫌だが,業務命令なのでやるしかない」といったように,できることならば回避したいものの,命令された場合には泣く泣くやらざるを得ない業務だと思っているのかもしれません。また,毎日の業務が忙しい場合においては,「とにかく現在自分の頭の中にある知識で対応するしかない。それ以外の事項を調べる暇なんて1秒もない」と考えているのかもしれません。 ただ,それらの考え方が必ずしも適切ではないということは既に本章で述べてきたとおりです。すなわち,目の前の案件に対して適切な対応をとるためには,頭の中にある知識だけで対応すべきではありません。通常は,どのような業務でも何らかのリーガルリサーチが必要となるものです。ただ,「リーガルリサーチは一日がかり,場合によっては数日や週単位の非常に大変な取り組みだ」と思っているのであればそれは誤解です。もちろん大規模なリサーチを実施すべき場合が全くないわけではありませんが,数時間以内や1時間程度で終わるリーガルリサーチも多く,場合によっては数分で終わることさえあります。 そこで,「リーガルリサーチは通常業務の一環として行われる。ただし,そのリーガルリサーチをどの程度の深度まで行うべきかは各案件によって変わってくる」と考えましょう。 また,ここで,リーガルリサーチが大変だという印象を持っている方に,本章でも既に述べていることを再度お伝えします。それは,各案件の状況において合理的注意を尽くしたと言えさえすれば,その段階でリーガルリサーチを終わりにすることができるということです。一番迅速にリサーチが終わるような極端な例を出しますと,「これは会社法〇条の問題だろうと考え,(定評ある書籍である)会社法コンメンタールの同条の記載を見たら,判例も通説も実務も同じ解釈をしているという記載があり,『答え』が記載されていたと判断できた」場合です。このような場合であれば,問い(→第2章参照)が適切である限り,即座にリーガColumn1

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