2 婚姻無効確認の準拠法の検討手順 婚姻無効確認の準拠法は,婚姻の成立と表裏であることから,各当事者に婚 姻要件といいます。例えば,婚姻意思の有無,婚姻可能年齢,第三者の同意,肉体的又は精神的障害等)と,②両方の当事者について問題となる要件(これを双方的要件といいます。例えば,重婚禁止,再婚禁止期間,近親婚の禁止,宗教・人種上の禁止(ただし公序の適用可能性あり)等)があります。必ずしも日本民法の求める要件が普多くの国の場合,それに近しいものがあると思われます)。す。),本件の夫婦の婚姻は無効となります。【参考文献】外国人ローヤリングネットワーク編『外国人事件ビギナーズVer.2』(現代人文社,2020)220─221頁2〔橘高〕つき,その本国法となります(通則法24条1項)。当事者双方の準拠法が配分的に適用されるので,それぞれの本国法の婚姻の実質的成立要件について確認する必要があります。 まず,準拠法として指定された本国法の当該本国の国際私法が,婚姻の実質的成立要件に関する準拠法を当事者の住所地法等と指定している場合等には,反致が成立するか否かを検討します(通則法41条)。例えば,当該外国の国際私法のいう『住所地』が日本にある場合等,反致が成立すれば,日本法が適用されることになります。 次に,適用される準拠法に基づく実質的成立要件を調査します。婚姻の実質的成立要件には,①一方当事者についてのみ問題となる要件(これを一方的遍的なものではないということには気をつけた方がよいでしょう(もっとも, 本件では,A国籍の夫とB国籍の妻のそれぞれの本国法を特定し,反致の成立の有無を確認し,反致が成立しない場合には,それぞれの本国法に基づく婚姻の実質的成立要件及び当該要件を欠く場合の効果を検討する必要があります。例えば,双方の本国法上の要件を欠いており,その効果がBの本国法上は婚姻の取消し,Aの本国法上は無効に該当するというように異なる場合には,より厳格な効果を認める法律が適用され(これを厳格法の原則といいま
元のページ ../index.html#20