2 実務の現状 訳文添付は,裁判所の訴訟指揮の一環として求められているもので,民事3 翻訳文添付の根拠 裁判書類の訳文添付についての運用の根拠として,平成3年4月10日付け裁判手続法研修所編『渉外家事・人事訴訟の審理に関する研究』(法曹会,2010)42頁参照)。0124日本語に通じない外国人に対する訴訟での翻訳文添付について 日本語の会話,読み書きができない外国人同士の離婚訴訟で,控訴審の裁判所から,控訴状,控訴理由書,期日呼出状の翻訳を付けなければならないと言われています(被控訴人は本人で代理人弁護士はいません。)。訳文添付についての実務の運用を教えてください。人の国籍や言語能力にかかわらず,訳文は法的に求められないはずです(司 ただし,円滑な進行や当事者の裁判を受ける権利の保障などの観点から,様々な議論がなされてきた問題です。訴訟規則などに明文の規定があるものではなく,裁判官次第です。仮に,訴訟指揮に従わず,訳文を提出しなかったら,期日指定がされないままとなってしまうことが懸念されます。これに対し,不服を申し立てる方法は,裁判を受ける権利の侵害だとして国家賠償を求める訴訟しかないのかもしれません。裁判所が作成する書類である呼出状を代理人に翻訳させることについては,疑問を呈する弁護士もいます。高裁長官・地裁・家裁所長宛事務総長通達「民事訴訟手続に関する条約等に312QuestionAnswer1 はじめに 被控訴人が国内にいれば,送達手続は通常の送達になりますので,被控訴
元のページ ../index.html#28