10議」を設置し、同会議は、令和3年3月19日付で「学校法人のガバナンスの発揮に向けた今後の取組の基本的な方向性について」と題する検討結果を公表した。さらに、令和3年7月、文部科学省は、「学校法人ガバナンス改革会議」を設置し、同会議からは、令和3年12月8日付で「学校法人ガバナンス改革会議報告書」が公表された。しかし、この報告書の内容は、寄附行為変更等の重要事項を評議員会の議決事項とし、例外なく全役員と会計監査人の選任・解任を評議員会で行うこととするなど、評議員会を最高監督・議決機関とするものであり、かつ、評議員は全員学外者として理事会による選任を認めないなど、学校法人の実務からかけ離れたものだった。私学団体の猛反発を受け、文部科学省は令和4年1月に、大学設置・学校法人審議会学校法人分科会に「学校法人制度改革特別委員会」を設置し、より現実的な改正の方向性を検討した。令和4年3月29日に同委員会が公表した報告書を基に私学法改正法案骨子、続いて私学法改正法案が作成され、何度かの国会への法案提出の見送りを経て、令和5年4月26日に、私立学校法の一部を改正する法律が成立し、同年5月8日に公布された。新法の施行日は、令和7年4月1日である。以上のとおり、令和5年改正の新法は、三つの有識者会議等での検討を重ね、令和4年3月29日の特別委員会報告書公表後1年以上も国会へ改正法案が上程されないなど、紆余曲折を経て成立した。理事選任機関の設置を義務付け、定時評議員会の概念を創設するなど、従前の私学法に存在しなかった規律を多数導入する内容であるため、全ての学校法人が、新法の施行日までに寄附行為の変更をしなければならない。令和5年改正に対応するための寄附行為変更の認可申請の受付は、早いところでは令和6年7月頃から始まる予定である。新法に対応するための準備期間は、決して長くない。
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