1:学校法人ガバナンス改革令和5年4月26日、私立学校法の一部を改正する法律(令和5年法律第21号)が成立した。私学法の主要な条文をほぼ全面的に改正する、私学法施行以来の大改正というべき内容である。第1節12法改正の契機は、専ら特定の学校法人の不祥事にあったとみる向きもある。そのような面があったことは否定できないかもしれないが、会社法の制定(平成17年)、一般法人法の制定(平成18年)、医療法の改正(平成27年法律第74号)、社会福祉法の改正(平成28年法律第21号)などに続く、各種法人のガバナンス改革の一環とみる方が、正鵠を射た議論であるように思う。学校法人に限らず、多くの法人でガバナンスの重要性が認識されているが、「ガバナンス」は多義的に用いられる語であり、法令に定義を持つ用語では(※)ない。学校法人のガバナンスに関する有識者会議の報告書では、ガバナンスを、「誠実かつ高潔で優れたリーダーを選任し、適正かつ効果的に組織目的が達成されるよう活動を監督・管理し、不適切な場合にはリーダーを解任することができる、内部機関の役割や相互関係の総合的な枠組み」と定義している。率直に言って、この定義を読んだだけでは何のことかよく分からないが、要するに、適切なリーダーを選び、不適切なリーダーを辞めさせるための仕組みと、リーダーの活動を監督・管理するための仕組みを、ガバナンスと呼ぶということである。学校法人に当てはめると、理事・監事・評議員等の選任・解任と監督・管理を、誰にどうやってやらせるかを考えるのが、ガバナンスの議論である。令和5年改正により、学校法人のガバナンスは大きな変貌を遂げることと令和5年改正の概要
元のページ ../index.html#26