2:新法の施行日等新法の施行日は、令和7年4月1日である(新法附則1条)。ただし、施行日時点で現に在任している役員及び評議員の資格・構成、任期、令和6年度の決算の取扱い、学校法人に関する訴訟の取扱い、会計監査人の設置又は常勤監事の選定などについて、複雑な経過措置が設けられている(新法附則2条〜10条)。また、新法の施行後5年を目途として、必要に応じて次の法改正等の措置を講じることとされている(新法附則12条)。13なる。新法の施行日(令和7年4月1日)までに全ての学校法人で寄附行為の変更が必要となり、さらに、理事・監事・評議員の構成を見直す必要に迫られる。新法は、役員・評議員への就任が制限される特別利害関係の範囲や、補欠の役員の選任方法、理事会・評議員会の議事録の記載事項、計算書類等の作成義務の詳細、財産目録等の作成義務の詳細、内部統制システムの具体的な内容、大臣所轄学校法人等において評議員会の決議事項となる寄附行為変更の範囲など、多岐にわたる事項を、文部科学省令の定めに委ねているほか、大臣所轄学校法人等の範囲、常勤監事選定義務が課される学校法人の範囲などを、政令の定めに委ねている。また、新しい条文の解釈は、文部科学省から公表される施行通知や寄附行為作成例を見なければ定まらない。政令及び文部科学省令の改正条文は令和5年12月頃の公表が予定されていたが、公表が大幅に遅れたため、各学校法人の寄附行為の変更作業に支障を生じかねない状態である。新法に対応した寄附行為作成例の改正は令和5年8月に行われたが、同年11月及び令和6年3月に再改正及び再々改正が行われた上、新法で予定されていない規律が寄附行為作成例に盛り込まれるなど、新法の施行前から、かなりの混乱が見られる。学校法人の実務に大きな影響を与える法改正でありながら、立法・行政の準備不足の感は否めない。(※)学校法人のガバナンスに関する有識者会議「学校法人のガバナンスの発揮に向けた今後の取組の基本的な方向性について」(令和3年3月19日公表)参照。第1節 令和5年改正の概要
元のページ ../index.html#27