実務 私立学校法
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1:寄附行為の意義寄附行為とは、学校法人の根本規則であり、株式会社、一般社団法人、一般財団法人等の定款に相当するものである。寄附行為は、学校法人設立の根源をなすものといってよい。学校法人を設立するには、まず寄附行為を作成して所轄庁の認可を受けなければならない(新法23条1項)。従前、寄附行為は紙媒体で作成しなければならなかったが、令和5年改正により、寄附行為を電磁的記録で作成することが可能となった(新法23条4第1節法28条)、混同しないよう注意が必要である。(1)私学則5条は、寄附行為を作成する際の電磁的記録について、「電磁的記録媒体……をもって調製するファイルに情報を記録したもの」としている。要するに、ハードディスクやフラッシュメモリ等に保存せよということである。(2)一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律40条参照。46平成18年の民法(平成18年法律第50号)改正以前は、社団法人の根本規則を定款、財団法人の根本規則を寄附行為と呼んでいた。民法に基づいて設立された財団法人の根本規則を寄附行為と呼んでいたことから、学校法人に限らず、財団法人の性質を持つ多くの法人で、根本規則を寄附行為と呼んで(2)いた。現在では、一般財団法人、社会福祉法人等、財団法人の性質を持つ多くの法人で、寄附行為ではなく定款の名称が用いられている。根本規則を寄附行為と呼ぶ例は、学校法人のほかに、財団たる医療法人等に僅かに見られるだけである。なお、学校法人の設立の際の財産の拠出も、寄附行為と呼ばれるので(新(1)項)。寄附行為とは

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