実務 私立学校法
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2:寄附行為の効力寄附行為は、学校法人の根本規則であり、学校法人内では最高法規として47機能する。具体的には、まず、学校法人は、寄附行為の定めに従って運営されなければならない。予算、事業計画等の意思決定は寄附行為の定める手続に沿って行われなければならないし、役員、評議員、会計監査人の選任・解任も、寄附行為の定めに従って行われなければならない。また、学校法人の内部で寄附行為に反する規則を定めても、その規則が法的効力を持つことはない。このように、下位の規則が上位の規則に反するこ(※)とができない効力を、形式的効力という。例えば、寄附行為で、評議員会の議決を要すると定めている事項について(新法66条4項参照)、寄附行為施行細則等の下位の規則で評議員会の議決を省略することができる旨を定めても、その定めが法的効力を持つことはない。(※)俵・解説私学法90頁。なお、同書は、寄附行為の作成・変更に所轄庁の認可が必要なことに寄附行為の形式的効力の根拠を求めるが、行政庁の認可は私人の法律行為を完結させる効力を持つだけであるから、疑問のある説明である。寄附行為の形式的効力の根拠は、学校法人の根本規則であることから説明すべきであろう。第1節 寄附行為とは

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