る(新法58条1項)。72評議員会の主な役割は、役員に対して意見を述べ、又はその諮問に答えることである(新法66条2項)。従前、評議員会の基本的性質は諮問機関であると説明されてきたが、令和5年改正により、大臣所轄学校法人等においては、軽微でない寄附行為の変更、解散、合併は、理事会決議に加え、評議員会の決議が必要とされ、評議員会が部分的に業務決定機関の性質を持つこととなった(新法150条)。大臣所轄学校法人等以外の学校法人では、寄附行為に特に定めていなければ、寄附行為の変更、合併、解散についても、評議員会が決定権を持つことはない。いずれの法人においても、寄附行為に別段の規定を置くことで、評議員会の決議を必要とする事項を追加することができる(新法66条4項)。評議員会の基本的性質が諮問機関であり、法人の最終的な意思決定を担う機関でないことは、学校法人のガバナンスの特徴であり、一般財団法人や社会福祉法人等、財団法人に分類される他の法人と大きく異なる点である。令和5年改正により、理事の選任について意見を述べること、理事の解任請求をなし得ること、監事及び会計監査人の選任・解任を行うことなど、評議員会の監督機能の強化が図られた。評議員の主な役割は、評議員会の構成員となるほか(新法66条1項)、一定の要件を満たした場合に、役員の解任の訴えや理事の行為の差止めの訴えを提起し得ることが法定されている(新法33条3項、48条2項、67条2項)。令和5年改正により、理事・理事会に対する監督機能を担保するために、理事と評議員の兼職は禁止された(新法31条3項)。会計監査人は、大臣所轄学校法人等では必ず設置しなければならない機関であり(新法144条)、会計監査を行う。これ以外の学校法人では、寄附行為に特に定めない限り、会計監査人を設置する必要はない(新法18条2項)。従前、私学助成を受ける学校法人では、助成法に基づき、公認会計士又は監査法人による会計監査を受けることが義務付けられていたが、令和5年改正により、会計監査人が私学法上の機関に位置付けられた。会計監査人を選任するのは評議員会であり(新法80条1項)、解任も、原則として評議員会が行う(新法83条1項)。以上の学校法人の機関の役割は、次のように要約することができる。
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