18_経保
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1 経営者保証の意義 経営者による個人保証を経営者保証と言います。 本来、保証の機能は、主債務の履行を担保することにありますが、中小企業における経営者保証には独自の機能があります。 一般に、中小企業の多くが、業務、経理、資産所有等に関する法人と経営者との関係が明確に区分・分離されておらず、実質的に一体となっているため、ガバナンス強化のために経営者の規律付けが必要となります。また、中小企業の財務基盤は概して強固ではないことに加え、適切な開示情報が不足していることから、企業の信用力補完・債権保全の強化の必要もあります。 こうした中小企業の経営実態に対応し、経営者保証は、①経営者の規律付け、②企業の信用力補完・債権保全の強化に結び付く一定の有用性を持ったツールであり、これが中小企業の資金調達の円滑化、調達コストの低減等に寄与しています。 このため、金融機関の借入金がある中小企業の経営者の約80%が個人保証を提供しており(2020年度「経営者保証に関するガイドライン」周知・普及事業(中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業)事業報告書)、個人保証は中小企業金融における融資慣行として定着していると言えます。なお、大企業(公開企業)においては、適切な企業情報の開示を前提とした市場(株主)のガバナンスにより規律付けされており、かつ、財務基盤も強固であることから、多くのケースで個人保証を求められていません。1 経営者保証経営者保証にはどのような意義と弊害があるのでしょうか。2第 1 章 総 論

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