3 経営者保証の在り方の基本的な方向性 前述の経営者保証の意義と弊害を踏まえ、中小企業における個人保証等の在り方研究会報告書では、経営者保証の在り方の基本的な方向性が次のとおり示されています(中小企業における個人保証等の在り方研究会報告書4項⑴)。➢企業と経営者等との関係の明確な区分・分離(経営者の規律付けによ➢財務基盤の強化(企業の信用力の補完の必要性の解消)➢財務状況の正確な把握、適時適切な情報開示等による経営の透明性【図2】 経営者保証の弊害各種意欲の阻害のおそれ信頼関係構築の意欲金融機関健全な融資慣行の構築の意欲中小企業健全な事業経営の意欲各ライフステージにおける取組意欲4第 1 章 総 論るガバナンスの強化の必要性の解消) 個人保証を求めることが融資において慣行化している背景に中小企業の経営実態があるという指摘がなされている点に鑑みると、できる限り個人保証を提供せずに資金調達の円滑化が図られるためには、まずは、借り手である中小企業側が、以下のような経営の改善に努めることが重要である。借り手のこうした取組みを通じて個人保証を補完的な役割と位置付けるような認識が次第に醸成されていくことが期待される。また、行政当局としてもそのための環境整備を図る必要がある。確保(情報不足等に伴う債権保全の必要性の解消) 他方、個人保証は、中小企業金融における融資慣行として定着し、中小企業の資金調達にも寄与しているため、個人保証契約締結の一律的な制限は、中小企業の円滑な資金調達を阻害し、中小企業の経営規律の低下を惹起するおそれがある。特に、上記のような経営改善の実現が現実的ではなく、法人個人の一体性に一定の合理性や必要性が認められるような小規模事業者等においては、個人保証が円滑な資金調達のツールとして引き続き機能することが想定される。 このため、むしろ、個人保証契約時の課題及び個人保証履行時等にお
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