18_経保
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⑶ 融資先の有事の際の対応 金融機関にとっての経営者保証の必要性を融資先の有事の際におけるガバナンス確保の機能とした場合、有事の際に「当該企業の最終処理を放棄しない」ことこそが、「経営者保証の本来果たすべき役割」です。この役割を果たさない経営者保証人がその保有する資産を超えて保証責任を負担しなければならないことを正当化する根拠は、当該経営者保証人が「経営者保証の本来果たすべき役割」を放棄したことに求められます。したがって、「経営者保証の本来果たすべき役割」を果たした経営者保証人の保証責任は、「その保有する資産」から「破産法上の自由財産に加えガイドラインが認める一定の資産」を控除した額の弁済履行にまで縮減されることになります。これが、ガイドラインの出口部分(ガイドラインに基づく保証債務整理)の考え方です。2 金融機関にとってのガイドラインの位置づけ ガイドラインは、主債務者たる中小企業、経営者および金融機関による自主・自律的ルールとして、関係当事者には、自発的に尊重され遵守されることが期待されています。ただし、ガイドラインは民間団体である「経営者保証に関するガイドライン研究会」が策定した準則であるため、法的整理手続のような法的拘束力はありません。 もっとも、ガイドラインによる保証債務整理手続を行う場合、原則として「準則型私的整理手続」によることが必要とされており、それぞれの準則型私的整理手続には一定のルールが定められていますから、対象債権者たる金融機関が手続に拘束されないわけではありません。また、金融庁の監督指針等で、金融機関にガイドラインの活用やガイドラインのルールの遵守が義務付けられており、その取組状況や取組姿勢が不十分な場合は、報告徴求や業務改善命令の発出の対象となりますので、金融機関にとっては、銀行法等の業法による実質的な拘束力があるともいえます。71 経営者保証

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