99はじめに ─ 本章の趣旨と特徴はじめに ─ 本章の趣旨と特徴第3章 法的論点の解説・検討編 本章では、一時保護に関する法的な知識と論点を網羅的に検討し整理することを試みる。1) 一時保護の実務運用に関しては、平成30年7月に児童相談所運営指針の一時保護部分が「一時保護ガイドライン」(以下「一時保護GL」2)と表記いた。今後はこれに「一時保護の司法審査に関する児童相談所の対応マニュアル」3)とその関連通知が実務指針として加わることになる。このように近年は、度重なる法改正の一方で、こども家庭庁発出の通知の充実により、実務解釈の安定が図られてきた時期ともいえる。 しかしながら、現場では各通知の記載をどのように整合的に理解するべきか検討が必要な部分や、通知に記載のない論点や「悩み」もいまだ多数存在している(性質上、国として方向性を記載することが難しく、現場に営基準の策定や、意見聴取等措置の導入等、関連制度の変化が続いたこともあり、ガイドラインを含め、通知の記載も度重なる変更・追加が相次いでいる。 そもそも、一時保護はその影響の大きさゆえに、様々な法的論点が生じうるが、これを網羅的に検討した文献はこれまで多くはなかった。また、各論点の議論状況が十分に整理されているとも言い難い状況にあり、議論が不十分なまま、現場の「手探り」の対応を強いられていた面があるように思われる。今後は、一時保護の司法審査導入を機に様々な法的紛争に発展する可能性が増しており、このタイミングで網羅的な検討が望ましいと考えられた。する。)として切り出され、これが実務運用の指針たる役割を果たして委ねざるを得ない事項も当然ある。)。また、近時は一時保護施設の設備運
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