児保
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1 「一時保護」はどういった行為なのかcase① Aさんが登校先の小学校で、保護者からの性被害を訴えたため、小学校は児童相談所に通告をした。児童相談所はAさんと面接のうえで 、一時保護を行うこととした。Aさんは、児童相談所職員の同行のもと、児童相談所の一時保護施設に移動し、しばらくの間、そこで生活をすることになった。② Bさんは親権者の同意を得て児童養護施設Xに入所中であった措置の同意を撤回するに至った。そこで、児童相談所は、Bさんを児童養護施設Xに一時保護委託を行うこととし、あわせて児童福祉法28条1項審判の準備をすることとなった。1)Bさんは以前と変わらずそのまま児童養護施設Xで過ごしている。③ Cさんは、深夜未明に繁華街で徘徊していたところ、警察に補導された。警察は、Cさんの保護者に連絡をしたが、Cさんの保護者はCさんの引取りを拒否した。警察は児童相談所に連絡をし、児童相談所が安全確保のための一時保護を行うこととしたが、Cさん自身が児童相談所の職員に引き渡されるまでの間、いったん児童相談所長は警察への一時保護委託を行う判断をした。2)⑴ 一時保護の「定義」 そもそも一時保護とはどのような営みをいうのか。条文上の定義は存在せず、また、所与の前提とされているためか、具体的な定義を示す文献は少ない。 一時保護GLでは、一時保護は「こどもの最善の利益を守るため、こ第3章 法的論点の解説・検討編が(児福法27条1項3号)、あるとき、親権者が児童養護施設入所102第1節 「一時保護」制度の概要

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