第3章 法的論点の解説・検討編的」とか「機能」等という項目で解説されてきた。現在の一時保護GLでは、一時保護の「機能」を「緊急保護」と「アセスメント」としており、アセスメントに連続する機能として「短期入所指導」があると示されている。6)司法審査マニュアルでは、同様のことを一時保護の「目的」として表現している。 実は、一時保護の「目的」「機能」「理由」といった言葉の用い方や、「緊急保護」「アセスメント」「短期入所指導」のそれぞれの位置づけについては、時期によっても解説の仕方に微妙なニュアンスや表記の揺らぎがみられ、やや混乱を招く要因にもなっている。例えば、過去のコンメンタールでは、一時保護の「理由」として、ア緊急保護、イ行動観察、ウ短期入所指導という例を挙げていた。7)その後、平成25年の「子ども虐待対応の手引き」では、一時保護の第一の目的を「子どもの生命の安全を確保すること」と示し、安全確保に重点をおきつつ、一時保護による調査は付随的な目的として触れるにとどまった。8)平成28年に児童福祉法33条に目的規定が付記された後、児童相談所運営指針から一時保護GLが切り出され、上記のような記載に変化していった(ただし、時代の変化 また、一時保護の「理由」という言葉も、例えば当初の一時保護GL添付の引き続いての一時保護の承認審判申立書のひな形等をみると、「安全確保・緊急保護」「アセスメント」「短期入所指導」と、上記の「目的」「機能」の表現と同じ内容の文言が流用されていた。10)現在では、一時保護の「理由」とは、府令該当性と一時保護の必要性を合わせた、要件該当性全体を指す文言として用いられるようになっている。11) このように、「目的」「理由」「機能」の言葉の使われ方は時期や掲載物によって用いられ方が違っていることに留意が必要である。ただ、いずれにしても本質的には同じことを論じている。現在の一時保護GLの書き出しの以下の一文は、すべての要素を含んで適当に表現しており、一時保護の「制度趣旨」はこれに尽きると思われる。にもよる影響もあると思われ、一時保護の制度そのものが変容しているというわけではないとみるべきであろう。9)「目的」の変化については後述第2節4以下)。104
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