児保
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第1節 一時保護中の子どものアドボケイト1 子どものアドボケイトとは327第1節 一時保護中の子どものアドボケイト第4章 課題検討編『権利擁護がわかる意思決定支援 法と福祉の協働』(ミネルヴァ書房、2018))。 アドボケイトとは意見表明を支援する人やサービスの総称である。「アドボカシー」という言葉自体の歴史は古く、そのための諸活動や法制度も既に存在するため全く目新しい概念というわけではない。「アドボカシー」は国や職域によっても異なる意味内容で用いられ、主に裁判手続場面を想定したものから生活領域全般での援助活動を含めたものまで様々であり統一的な定義が存在するわけではない。「アドボカシー」と「権利擁護」はもともと異なる領域で用いられてきた言葉であったが、平成10年の社会福祉基礎構造改革の頃から両者は政策上同義の言葉として用いられるようになり「権利擁護」という言葉が福祉職や法律家の共通用語として定着していった。 「アドボカシー」や「権利擁護」の意味内容に差異はあるものの「何らかの事情によって自分の想いや考えを、他の人に伝えることができず、その結果、日常の社会生活において不利な立場に置かれている人たちを支援する活動」という点でおおむね理解は共通しているといえる。その精神は「Nothingaboutuswithoutus」すなわち当事者抜きで当事者のことを決めないということである(日本福祉大学権利擁護研究センター監修 「権利擁護」という言葉の中には「プロテクション」と「アドボカシー」の2つの意味合いがある。そして権利擁護のための活動はしばしば「プロテクション」の側面ばかりが強調され、援助者中心、当事者不在のまま当事者の意向や利益に反するような活動が行われることもある。

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