児保
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4 独立型アドボカシーの意義⑴ 利害関係のないアドボカシー331⑶ 子どもアドボカシーの1つとしての独立型アドボカシー ところで、子どもアドボカシーはしばしば独立型アドボカシーのことのみを指す言葉のように誤解されがちである。現場でも子どもの声を聴くのは独立型アドボカシーの役割であり、児童福祉司の役割は専ら調整であるといった誤った理解に接することもある。子どものアドボケイトは本来、子どもに関わり声を聴く機会のあるすべての人たちを指す言葉であり、すべての人たちが子どもアドボカシーを意識していく必要がある。 これまでにたくさんの子どもの声を聴いてきた人たちへ敬意を払いつつ、こうした子どもアドボカシーや独立型アドボカシーの議論が昨今、重要視されるようになっている背景についても理解していく必要がある。 独立型アドボカシーにおいては、エンパワーメント、子ども中心、独立性、守秘、平等、子どもの参画の6つの原則が指摘されている。この中でも、とりわけ重要となるのが独立性である。 フォーマルアドボカシーやインフォーマルアドボカシーは子どもと日常的に関わり、主としてその声を聴く重要な存在である。実際に多くの子どもたちの声は、こうしたフォーマルアドボカシーやインフォーマルアドボカシーの担い手である専門職や親によって聴かれている。一方でその関係性の強さゆえに利害関係も濃くなり、時に子どもが言いたいことが言えなくなることもある。親や専門職も日常的に関わっているからこそ、経験や思い込み、あるいは子どもにこうあってほしいという願望が入り込みやすく、子どももそうした願望に忖度した意見しか言えなくなることもある。 また、フォーマルアドボカシーやインフォーマルアドボカシーは子どもの健全育成義務を負っており、時に子どもの意見に反してでも子どもの最善の利益を優先したパターナリスティックな対応を取らざるを得な第1節 一時保護中の子どものアドボケイト

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