児保
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445あとがき大 畑 亮 祐思う。)。児童相談所現場に関わってきた福祉職による論稿もあれば、弁 本書は、法律家が編集した実務書としてはとても異色なものである。純粋に法律論を述べている部分は、全体からするとそう多くはない(と護士という肩書であっても法解釈にとどまらない検討や議論をお願いした執筆者の方もおられる。「一時保護」というテーマだけが共通し、実際には様々な観点から、様々な論述がなされている。一見するだけでは検討にまとまりや体系がないように見えるかもしれないし、あるいは、同じ論点について論者ごとに別の場面や文脈で論じており、冗長な部分もあったかもしれない。 しかし、本書を読めば、各々の執筆者は、それぞれの専門性や立ち位置が異なりつつも、根源的な問題意識や願いは共通していることが分かっていただけるのではないかと思う。混迷する一時保護の制度について、あちら・こちらから光を照らしてみた結果、場面や領域、論者を超えて通底する何かが炙り出されたようにも思う。それが果たして何なのかというと、私にはうまく表現ができているか心もとないが「こどもや家族に対する真摯なまなざし」とでも言えようか。こどもや家族にとって少しでもよりよい制度や運用になってほしい。このような編著のシナジーは、書籍化の企画が始まった当初には思いもよらないことだった。 振り返ってみると、私の中で、法的・福祉的なスキルを身につけるだけでなく、この「まなざし」を育むことができたのは、弁護士登録以来こどもの様々な法律問題について教示を受け、取り組んできた仲間の弁護士たち、そして児童相談所やこども支援に関わる関係機関の職員の皆様、何より様々な場面で出会ったたくさんのこどもたち・保護者の方々の声があってのことだと感じている。ここに改めて感謝の意を記しておきたい。 2025年5月あ と が き

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