第1 本書の構成説3第1部 序 第1 本書の構成 インターネットは現代社会において、社会生活に不可欠な存在となっています。知りたい情報がある場合、検索エンジンにキーワード(検索クエリ)を入力して情報を検索し、ウェブサイトへアクセスすることにより、様々な情報を簡易迅速に入手することができます。また、パソコンだけではなく、スマートフォンやタブレット端末などからもインターネットにアクセスすることが容易になり、情報を入手する手段は益々拡大しています。一昔前とは比較にならない早さで、多くの人々が世界中のサーバに保管されている膨大な情報にアクセスしているのが現状です。 インターネット上に流通している情報は、その多くが有益な情報です。しかしながら、一部には特定の個人を誹謗中傷する情報や、他人の著作権を侵害する情報など、我が国の法律に照らし、違法性を有する情報が流通していることも否定できません。そして、そのような違法情報により自らの権利が侵害された被害者は、インターネット上の情報を削除したいと思うのが通常です。もっとも、インターネット上に流通している情報が他人の権利を侵害している情報なのかどうかについては、法律の専門家であっても判断が困難な場合が少なくありません。ウェブサイト上の情報を削除することが可能なウェブサイトの管理者やプラットフォーマー等が、権利を侵害されたと主張する者からの削除依頼を受けて、その情報を削除した場合、削除した情報が実際には権利侵害情報ではなかったときには、ウェブサイトに情報を投稿した者の表現の自由や営業権などの権利を侵害する可能性もあり、そのような者に対する配慮も必要になります。 本書で取り上げます情報流通プラットフォーム対処法は、平成14年5月に特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」といいます。)という名称で施行され、第 1 章 総 論
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