第 1 章 総 論4その後、令和6年の法改正により特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律(以下「情報流通プラットフォーム対処法」といいます。)に名称変更されました。情報流通プラットフォーム対処法は、①インターネット上に流通している権利侵害情報について、プロバイダ等が、当該情報を削除するなどした場合の責任の範囲を明確化することにより、削除されるべき情報に対して適切な対応をとり得る環境を整備するとともに、②インターネット上に流通する権利侵害情報により、自らの権利を侵害された被害者に対して、情報を流通に置いた者を特定し、被害を回復する手段を提供しています。また、令和6年の法改正により、③権利侵害情報の速やかな削除を実現するとともに発信者等に対する削除の透明性を確保するために大規模事業者に対して公法上の義務を課しています。 同法は、インターネット上に流通している情報に関する法律であるため、同法の機能や位置づけについては、インターネットに関する基礎知識があった方が理解しやすいと思われます。そこで、本書では以下のような構成をとらせていただきました。第 1 部 序 説 第1部では、第1章「総論」において、インターネットの世界、インターネット上に流通する情報の類型・特質、インターネット上の違法・有害情報への対応状況、インターネット上の情報に関する法的責任について解説します。その上で、第2章「情報流通プラットフォーム対処法の意義」において、同法の立法経緯、施行後の改正状況等、同法の機能について解説しています。そして、第3章において、「情報流通プラットフォーム対処法の基本構造」を概観します。第 2 部 逐条解説 第2部では、第1章〜第6章において、各条項の趣旨、解釈等について、詳しく解説しています。加えて、情報流通プラットフォーム対処法が施行された平成14年5月以降、同法に関連する多数の裁判例が出ておりますので、重要と思われるものについては、関連条文の解説と併せて取り上げました。また、第7章において、渉外的法律関係についても解説しています。イン
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