第2部 逐条解説第2 公職の候補者等に係る特例(4条)75情報の流通によって自己の名誉を侵害されたとする公職の候補者等から、名誉侵害情報等を示して送信防止措置を講ずるよう申出があった場合に、発信者に対して削除等の送信防止措置を講ずることに同意するかどうかを照会した上で、当該照会を受けた日から2日を経過しても発信者から送信防止措置を講ずることに同意しない旨の申出がなかったとき(1号)、又は②選挙運動・落選運動用文書図画に係る情報の流通によって自己の名誉を侵害されたとする公職の候補者等から、発信者の電子メールアドレス等が表示されていない旨を示して送信防止措置を講ずるよう申出があった場合に、発信者の電子メールアドレス等が受信者の使用する通信端末機器の映像面に正しく表示されていないとき(2号)のいずれかの要件を満たす場合には、発信者に対して損害賠償責任を負わないものとされています。 本条と前条2項は、その適用に優先順位はありません。したがって、特定電気通信役務提供者は、本条と前条2項のいずれかの要件を満たす場合には、発信者に対して損害賠償責任を負わないことになります。 なお、本条は、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限を規定したものにすぎず、前条と同様、情報の削除請求権を規定したものではありません。 また、本条は、任意規定と解されますので(総務省61頁)、前条と同様、特定電気通信役務提供者と発信者との間に契約関係が認められる場合には、当該契約内容は排除されません。 本条は、柱書において1号と2号に共通する本条の責任制限の適用主体、対象情報、責任制限の要件等を規定しています。⑴ 特定電気通信役務提供者 「特定電気通信役務提供者」とは、特定電気通信役務を提供する者のことをいいます(2条4号)。「特定電気通信役務提供者」が本条の損害賠償責任の制限規定の適用主体となります。柱 書11
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