第 2 章 被害者の実務対応判手続を利用することにより、コンテンツプロバイダ等に対する開示請求と経由プロバイダに対する開示請求を一つの手続で行うことも選択肢として可能になりました。 以下では、被害者の対応につき、権利侵害情報の削除請求、発信者を特定するための開示請求、発信者に対する責任追及の順で、見ていくこととします。COLUMN 3 3COLUMN 被害者が情報の削除や発信者の特定を望む場合、とりうる選択肢は、複数あります。削除であれば、裁判外では、事業者が用意したウェブフォームを通じた削除請求やガイドラインに沿った申立て、裁判手続としては、仮処分の申立てが想定されます。 また、開示請求については、実務上は、他法令との関係もあり裁判外での開示請求に応じてくれるケースは少ないため、基本的には裁判手続によることになります。裁判手続としては、従前はコンテンツプロバイダ等に対して仮処分の申立てをしてIPアドレスとタイムスタンプ等を取得した上で、当該情報を用いてアクセスプロバイダに対して通常訴訟を提起することが多かったですが、 2 段階の手続が迅速性などに欠けるため、令和 3 年改正により開示命令手続が追加されました。 そのため、現在は迅速に発信者を特定可能な仮処分と開示命令が利用されていることが多い印象です。 開示命令手続は、一つの手続でコンテンツプロバイダ等とアクセスプロバイダに対する開示請求をまとめて行うことができるため、被害者にとっては便利な制度です。 もっとも、開示命令手続による場合には、削除請求を同じ手続で行うことはできませんので、削除請求もあわせて一つの手続で行う場合には、仮処分も選択肢となります。 また、開示命令手続によってアクセスプロバイダに対する開示請求を迅速に行うためには、提供命令後に速やかにコンテンツプロバイダが当該命令に従って対応することが前提となりますが、それが期待できないようなケースにおいては、まずはコンテンツプロバイダに対して仮処分の申立てをしてIPアドレス等を取得した上で(同時に開示命令の申立てをする方法も考えられます)、アクセスプロバイダに対して開示命令の申立てを行うことも考えら278被害者の選択肢
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