第2章 生成AI開発・提供・利用と著作権散在している単体データ44用 DB 著作物にも該当しません)。あくまで、収集・蓄積の過程における「情報の図 27作物に該当すること、すなわち「情報の選択」か「体系的な構成」に創作性がなければなりません。たとえば、散在したデータを悉皆的・網羅的に収集・集積して前処理を行っただけの学習用データセットはデータベース著作物に該当しません(当然情報解析選択」や、「体系的な構成」によって創作性を有する学習用データセットのみがDB 著作物や情報解析用 DB 著作物に該当しうるということです(図 27)。もっとも、データの選択にどの程度の工夫があれば「情報の選択」や「体系的な構成」に創作性があるといえるかは難問です。判断基準としては「当該情報の選択や体系的な構成が通常なされるべき選択・体系的構成であって、当該データベースに特有のものといえない」場合や「他にも同様の選択行為や体系的構成を有するデータベースが存在する」場合には「情報の選択」や「体系的な構成」による創作性が否定されることになるでしょう。たとえば、アメリカ国内で利用される顔認識用の AI を開発するために、人物肖像写真で構成される学習用データセットを生成することを考えてみます。このような学習用データセットの生成に際して、たとえば「ウェブ上で『アメリカ人 顔写真』というキーワードで画像検索を行い、検索結果として表示された顔写真画像からランダムに1万枚選択する」という選択行為が行われたとします。集積情報の選択「情報の選択」に創作性がある学習用データセット→情報解析用 DB 著作物(*)(*)散在している個々のデータのうち、特定のデータだけを選択した点に「情報の選択」における創作性がある場合単体データを悉皆的・網羅的に集積しただけの学習用データセット(非著作物)
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