AI大全
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5:AI 利用者による AI の利用と個人情報、プライバシー、名誉毀損 343ウ 利用生成 AI から出力された情報が個人データに当たるかについては、本章3⑸イアで記載したとおり、個人情報(散在情報)には当たる場合があるものの、個人データには通常当たらないと考えられます。なお生成 AI から出力された情報が個人情報に当たる場合、利用目的規則に服することになります(本章5⑵アア)。イ プライバシー・名誉毀損ア 入力生成 AI に入力するプロンプトに、特定個人のプライバシーや名誉を毀損する情報が含まれていたとしても、かかる行為はプライバシー侵害や名誉毀損には該当しないと考えられます(本章3⑵イ参照)。イ 取得特定個人のプライバシーや名誉を毀損する情報が生成された時点では、単に当該出力が生成された段階に過ぎず、当該情報が公表されたわけではないため、プライバシー侵害には該当しないと考えられます。名誉毀損情報が生成された場合も同様と考えられます(本章3⑸アイ)。ウ 利用生成 AI が特定個人のプライバシーや名誉を毀損する情報を生成し、これをAI 利用者が複製する等して公表した場合、かかる行為によって、AI 利用者はプライバシー侵害や名誉毀損による不法行為責任を負うことになります。RAG の概要については第2章4をご参照ください。RAG は、生成 AI サービスにおいて、社内情報や特定分野の専門知識を利用したい場合に、特に有益な手法です。具体的には、①既存情報(社内情報や特定の専門知識など)をベクトル情報と呼ばれる形式に変換(人間が読める言語をコンピュータが読みやすい形式に変換)して、ベクトル情報と既存情報とをベクトルデータベース(DB)に格納し、②プロンプトとして入力された質問文を③ベクトル情報に変換し、④ベクトル化された質問文と、ベクトル化された既存情報の類似度を測り、類似(マッチング)する既存情報を抽出し、⑤マッチングした既存情報を⑥質問文とともに AI モデルに入力し、⑦推論の結果、⑧回答を生成して、⑨出力するという仕組みです(図 23)。⑷ 第三者が提供する RAG サービスと個人情報保護法

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