第10章 AIシステム開発と契約戦略484表1筆者は、AI システム開発をベンダに委託するユーザである事業会社からも、開発を受託する側のベンダ(AI スタートアップ含む)からも AI システム開発契約に関する相談や開発契約交渉のサポート依頼を多数受けてきました。たとえば以下のような内容です。▼ ユーザからの相談◦ 当方が AI システム開発のために提供したデータを利用して作成した学習用データセットの知的財産権を全てベンダに渡すよう要請されている。◦ PoC において、PoC 費用を支払うにもかかわらず、レポートだけが納品物であり、PoC の過程で生成したプログラムの引き渡しはできないといわれている。◦ 開発契約において、AI システムはブラックボックスであることを理由に、対象物精度が高い処理ができるネットワーク構造、学習用データの前処理に関するノウハウ、学習用プログラムのアルゴリズムアルゴリズム、ノウハウデータ前処理モジュールのコード、学習用プログラムのコード、学習済みモデル(推論プログラムと学習済みパラメータが一 体 と な っ た プ ロ グ ラム)のコードプログラムのコード学習済みパラメータプロンプト具体例秘匿化(営業秘密) 各フェーズ(情報交換、コンサル、PoC、本開発、利用等)ごとに以下の点を交渉・合意権利化(特許化)秘匿化(営業秘密)+著作権秘匿化(営業秘密)秘匿化(営業秘密)+著作権知財戦略契約戦略① 業務内容② 成果物・納品物③ 対象物の知的財産権の帰属(どちらのものか)④ 対象物の利用条件(双方が成果物をどのように利用できるのか)1 : よくある相談
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